みずから読みたい本を


by bunkosha

カテゴリ:出版あれレこれレ( 18 )

猛者列伝より

初優勝 PLAYBACK1975.10.15 ― 広島東洋カープがもっとも燃えた日。

堀 治喜 / プレジデント社


カープが初優勝を決めた昭和50年10月15日の伝説のゲームが、はしめて一冊の本にまとめられました。
堀 治喜著の『初優勝 PLAYBACK 1975.10.15』です。

あの日グラウンドで熱く戦い、悲願の栄冠を手にしたカープのレジェンドたち。
その猛者たちの選手像を知ってから読めば、この物語の陰影も濃くなることでしょう。

そこで今回の発刊にあわせて、『カープ猛者列伝』から優勝ナインをピックアップしてご紹介いたします。
副読本としてお読みいただければと思います。


   カープ初優勝戦士 その1 大下剛史内野手
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初優勝をたぐりよせた『44個の執念』

野球中継を観ているとする。バッターが鋭く弾き返したボールがピッチャーの足元を転がり、センターに抜けようかという、まさにそのとき、画面の右隅からスルスルと二塁手があらわれる。「あっ」と思う間もなく二塁手は伸びるように逆シングルで捕球し、振り向きざま一塁に送球する。ボールはランナーが一塁に走り込む寸前に一塁手のミットにおさまり、間一髪「アウト!」。こんなプレイがテレビ観戦の醍醐味のひとつだ。

このプレイを見せ場にしていたのが大下剛史だ。
プロ野球が観せることを前提としているからには、選手には売り物がある。豪球・豪打をウリにする選手がいれば、技巧・巧打をアピールする選手もいる。大下の場合はそれが守備だった。
この売り物の守備が大下の運命を大きく変え、カープというチームに栄光をもたらすことになる。

ときは昭和49年。当時東映フライヤーズの二塁手だった大下は、大阪球場での南海戦で、自慢の守備を見せた。ランナー一塁でショート・ゴロを捕球した遊撃手からの送球を受けた大下は、いつものように走者に軽くタッチするや、その反動で一塁に送球した。ダブル・プレイの完成だ。ところが二塁の塁審は「セーフ」をコールした。完全にタッチしていたが、塁審は見逃していた。激昂した大下は抗議したが判定はかわらない。しかも、このタッチ・プレイをめぐって、味方チームのコーチと険悪なムードになった。
「キミのタッチが甘いから、セーフになった」
コーチは大下を責めた。

日ごろからコーチは大下のプレイを「基本に反する」といって批判していた。じぶんのプレイを理にかなっていると確信している大下との間には、いつからか修復できない溝ができていた。その日からふたりの確執は決定的となり、たぶんそのことが原因で大下はそのシーズン・オフにカープにトレードされた。

電話一本で「トレードに出す」という球団の姿勢に立腹したが、郷里の広島であったことは救いだった。「やってやろう。広島で見返してやる」大下はそう誓った。

この事件が49年に起こったというところが面白い。いうまでもなく、50年のカープ初優勝に大下が果たした役割は少くない。いや、もし大下がトレードで移籍してこなければペナント・レースの帰趨はどうなっていたかわからない。とすればカープ球団にとって、この事件が幸いしたといえるだろうし、後の大下にとっても吉とでた。災いは転じて、いつか福となるものだ。

新監督ルーツによるチームの意識改革。前年に大バケした山本浩二と衣笠(祥雄)。成長著しい脇役たち。ペナントを狙うための要素は揃った。そこに大下といういぶし銀の選手が加わって『カープ初優勝物語』のキャスティングはできあがった。

50年の開幕戦。「一番、セカンド大下」のアナウンスを聞いて神宮球場のバッター・ボックスに入った大下は、ヤクルト・スワローズのエース、松岡弘の快速球を巧みに軽打したかと思えば、スタンドへもぶち込んで見せた。
「これでいけれる」という自信をつかんだ大下は、シーズンを通して快打を放ちつづけた。塁に出れば果敢に盗塁し、ダイヤモンドを駆け回った。大下は走ることで得点に結びつけ、チームをけん引した。

カープに初優勝をもたらした盗塁は44個。これで大下ははじめてのタイトルとなる盗塁王を獲得した。この三年後、53年のシーズンを最後に引退してしまう選手が、確実に衰えている《足》でひたすらつぎの塁を狙った。その執念がカープ初優勝をたぐりよせた。

カープ猛者列伝 私家版

堀 治喜 / 文工舎


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by bunkosha | 2016-03-08 22:03 | 出版あれレこれレ

10人の読者のために。

球場巡礼番外編「西宮球場」出来。

手づくりで限定10部。

10月13日に月島で開催される「東京野球ブックフェア」で、新刊の「天国から来たストッパー!」とともに「目玉商品」として販売します。
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やれやれ、疲れました。
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by bunkosha | 2013-10-01 23:27 | 出版あれレこれレ

自著を語る

堀 治喜著「わしらのフィールド・オブ・ドリームス」

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 5年前に終わったはずの夢が記憶の古層に沈もうとしていた矢先、ひょんなことからふたたび浮上してきてしまった。その遠因となったのは2011年3月11日の東日本大震災だった。
 日本という国の行く末さえ変えてしまったあの災害を前に、一個人として何ができるのか、何をしければならないのか、その答えを私はなかなか見つけることができなかった。いま大きな危難を前に、地道に復興にあたっておられる被災者を励まし力づけるために何ができるのか。それを自問自答するなかで、物書きの端くれである私は、書くことによって震災をおもい、復興を祈り、震災後に対峙するしかないのだと自覚するにいたった。
 そしておもいたったのが、1998年にある出版社から刊行され、ずっと廃版になっていた「わしらのフィールド・オブ・ドリームス」の再刊だった。
 この本に書かれてある、荒れ果てた休耕地をみんなで手づくりで野球場によみがえらせるという物語は、広島県の県北、安芸高田市のある町で1993年から5年の間に実際に起こった出来事、そしてここに登場する人物たちの夢の記録だ。
 いま時を経てふりかえってみると、この物語は、被災地の復興に通じるものがあるようにおもう。それは現代の「創世記」と呼んでもいいものだ。
 古事記、日本書紀といった神話は、私たち日本人のこころの深層を支え、存在のバックボーンとなってきた。ならばこのささやかな〝神話〟も、被災地のお役に立てるのではないか。そんなことを祈るような気持ち再刊することにしたのだ。
 そして再刊を機会に、本の舞台となったドリームフィールドで遊んだ「草野球甲子園」を、5年ぶりに復活し、津波の被害がもっとも甚大だった陸前高田市で開催することにした。そして「だれもが楽しめる」草野球甲子園の趣旨の通り、被災地の老若男女、さまざまなひとびととゲームを楽しんで来た。
 ひとつのボールを介して、みんなの気持ちがひとつになれるという、野球というゲームが持っている魅力。それは「野球の力」といってもいいものだが、それを現地で確認することができた。いっときとはいえ、困難な日々を送っていられる被災者の方たちに、癒しと安らぎを草野球甲子園が与えてくれたはずだ。
「復興」と軽く口にはできないほど、いまだ被災地の爪痕は深い。そして、被災者が負ってしまったトラウマも小さくはないだろう。
 そんなひとびとの、ちょっとした心の支えに、あらたな人生の再出発のきっかけに、この本がなってくれれば、と切に願っている。
 
  (カープ・ドミニカ選手後援会会報 2011.11.25より)

わしらのフィールド・オブ・ドリームス

堀 治喜 / 文工舎


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by bunkosha | 2013-01-21 20:46 | 出版あれレこれレ

まずはアマゾンから。

「マツダ商店(広島東洋カープ)はなぜ赤字にならないのか?」が、アマゾンで予約可能になりました。

べつに逃げもかくれもしませんが、予約はお早めに。


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by bunkosha | 2012-09-25 07:14 | 出版あれレこれレ


10月10日発売予定!
(先行予約受付中)

新書版 本文224ページ(モノクロ)
定 価 800円(税別)

今回は表紙カバーに仕掛けがほどこしてあります。お楽しみに!
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目 次
第1章 カネにまつわる神話
○巨額マネーを手にしていた巨人たち○裏金を使う表の理由
○地方紙ベタ記事の〝スクープ〟 ○ひとり淡水に泳ぐコイ
○黒字をつづけるカラクリ
○ファンが発信してきた〝誤ったメッセージ〟
○球界の迷い子○見えない財布の中身
○カープは本当にカネがないのか? ○〝健全経営〟の犠牲者たち
○ブラックホールに消えた50億円○ファンは欺かれてきたのか

第2章 〝カープ村〟の不思議な世界
○ハマから打ち上げられたクジラ○退場したオーナー
○「市民球団」を手にいれた〝“耕平マジック〟
○クジラとコイの泳ぎ方のちがい○ギブのないテイク
○〝カープ村〟の閉ざされた言語空間○あやしい人徳論
○ファンと球団の『20日戦争』○球界の盟主から届いたメール
○虎の威をかりた工作○暴力排除という〝暴力〟
○60㎝のカードをめぐる攻防○懸念に終わった「懸念」

第3章 オーナー、それぞれの事情
○貴族がはじめた球団経営○スポーツ好きの篤志家
○球界と運命の糸で結ばれた若旦那○もたらされた果報
○ネーミングライツの先鞭○飛び去った幸せのコマドリ
○野球に理想郷を求めた男たち
○真のオーナーが持った『史上最弱チーム』
○墜落したトンボ○球界で最初に「ラッパ」を吹いた男
○〝スター〟を買った映画会社○名将との確執
○シャシン屋の幕引き○〝大砲〟をつくる技術
○「市民」から〝買収〟した球団○耕平オーナーの光と影
○松田家につづいた悪夢○球団世襲への疑問

第4章 優勝への遠い道のり
○「マツダ商店」の営業実態○選手という財産
○お手本となったカープ○「オレ流」登用の英断
○快進撃を支えた強者たち○未経験監督の明暗
○まだら模様のコイ○失った大黒柱の大きさ
○〝耕平チルドレン〟の勇士たち○球団の意識をはかる試験紙
○戦わないプロ集団○あるゲームに見たチームカラーのちがい
○長寿選手の秘密○組織と個人のフトコロの差
○〝たられば〟で組んだオーダー○助っ人だよりのいびつさ

第5章 そして誰もいなくなった
○主砲離脱の波紋○球団内にできた骨棘
○「優勝」のことばの軽さ○エゴとプライドの衝突
○監督にも求める帰順○凶事のサインだった3発の花火
○守護神のご乱心○2軍同然となったスタメン
○ある心理ゲーム○オーナーの心象風景
○投高打低への帰結○マエケンを襲った不可解な出来事
○敵は味方に?○勝たないための采配

最終章 歴代オーナーの成績表
○優勝が最高のファンサービス○優等生だった耕平オーナー
○割れる評価○オーナー失格
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by bunkosha | 2012-09-19 13:54 | 出版あれレこれレ
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金正堂が、最後の日をむかえました。

写真のように、特別なセールをするでもなく、派手に閉店を訴えるでもない、いつものままのたたずまいなのが、かえって寂しさをさそいました。

さて、ついにこの日、そのときが来てしまいました。
ごあいさつをしておかなければなりません。

店内に入ると、エプロン姿の古参おじさんがレジ番でした。
きょうの日を知っているのでしょう、中年のサラリーマンが神妙な顔をして清算を待っていました。

そのサラリーマンがカウンターを離れるのと入れ違いに、おじさんに声をかけました。
「お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。」
しぜんに口をついて出たことばでしたが、照れたように笑うおじさんの顔を見ていたら目頭が熱くなってしまいました。

「上に店長さん、いますよ」
「じゃ、せっかくですから」
さそわれるままに階段を3階にあがりました。

事務所に顔を出すと、スタッフのお嬢さんが応対に出てきました。
神妙な表情で近づいてきて、なにをいうのかとおもったら、
「すみません、衣笠さんの本、2冊客注があるんですけど…」

ちょうどそこにあらわれた店長さん。
「なんだ、あなたまだいってなかったの?」
「はい、すみません」
「はやくいってもらえば、きょう持ってきたのに」

閉店の当日に発注するお店と、発注される版元…。
なんだかみょうなことになって、3人で涙笑いです。

ということで、あしたまた金正堂にはうかがうことになりました。
でもやっぱり今日、あらためてごあいさつしておきましょう。

「お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。」
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by bunkosha | 2011-01-31 21:57 | 出版あれレこれレ

エール!

おかげさまで「衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?」が、アマゾンのノンフィクション部門で5位を記録しました。

きのう、一般のメディアでははじめて朝日新聞で紹介されたのも大きかったのでしょう。ありがたいことです。

ちょっと信じられないような状況となっていますが、地方の小さな出版社がこつこつ出している本でも、こんなに注目されることがあるんですね。
うれしいではありませんか。

北海道のA社も、沖縄のB社も、がんばりましょう。

衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?

堀治喜 / 文工舎


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by bunkosha | 2011-01-24 12:36 | 出版あれレこれレ

みたびの、ありがとう。

「衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?」
本日とうとう、ノンフィクション部門のトップテン入りをしてしまいました。

ありがとうございます。
これからも、応援よろしくお願いいたしまっす。
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by bunkosha | 2011-01-18 20:08 | 出版あれレこれレ
「衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?」
おかげさまで。ここ一週間ほどアマゾンのノンフィクション部門で100位以内にランクインしています。

そしてきょう、これまでの最高位の17位を記録しました。
ご購入いただいた読者の方々、ありがとうございます。

と書いたところで、15位になりました。

衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?

堀治喜 / 文工舎


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by bunkosha | 2011-01-18 12:39 | 出版あれレこれレ

新刊です。

ヒロシマ平和製作所の第2弾として宮角孝雄写真集「GROUND ZERO 希望の神話」を上梓しました。

写真家の宮角孝雄氏が「平和」をテーマに10年の歳月をかけて撮影してきた数千枚から選りすぐった158枚のポートレート。
そのいずれの写真からも、戦争のネガティブな記憶をつきぬけて、未来への希望がにじみでてくるようです。

パレスチナとイスラエルの女性が原爆ドーム前で手をにぎっているツーショットが訴えてくる感動。
被爆の悲しみを封じ込めてつくったコインの原爆ドームを抱えているおばあちゃんの姿。
家族写真に映った家族が一瞬にして被爆死したトラウマから、これまで一枚も記念写真におさまろうとしなかった母親と、はじめて被爆のシンボルの前で写真におさまることができた娘さんの、たとえようのない歓びの笑顔。
……。
その一枚一枚が、しずかな感動の波動を放っているようです。

たった一枚の報道写真から戦争が終わることがある。
とすれば、この写真集のなかのたった一枚の写真から「反核平和」のあらたな一歩がはじまるのかもしれません。

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A4版 176頁 モノクローム
ソフトカバー
定価3000円(税込み)
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by bunkosha | 2010-06-23 08:55 | 出版あれレこれレ